2013年3月3日日曜日

ウルトラマンマックス 視聴記-19(第29〜30話)

第29話 「怪獣は何故現れるのか」

 出だしからウルトラQな雰囲気満載の今回。ゲロンガのデザイン、何かバカみてえ(笑)。

 いきなりカイトとミズキ、デート?自分が怪獣の牙を折ったとか言ってる喫茶店のマスタ、何者?と思ったらウルトラQの一平じゃないか!

 1964年にタイムスリップ。何と満田監督自らカメオで監督役で、「アンバランス」の撮影現場。「胡蝶の夢」に続き、メタフィクション!?「アンバランスからウルトラQ」とはリアルなお話し。音楽も今回は何となくそれっぽい。

 テレビで「怪獣はどこから来るんでしょう」の討論会。古来より人間が夢想してきたものが具現化したのが怪獣との見方が提示される。環境バランスについての言及は今回、特にナシ。

 マックスに牙を折られて苦しんでるゲロンガの目に涙。なぜか、ちょっとウルッときたじぇ。そのまま奥多摩山中に運ばれたとのニュース報道。行き先は怪獣墓場ではなかったのね。これって、マックスが運んだのをDASHが確認してプレスリリースしたってことか。奥地に返されておとなしくしてるんだったら最初っから出てくんなという気もするが、シカクマと同じで、人間の領域にやってくると痛い目見るよ、と学習させることで、処分することなく自らの領域に帰してやって共存を図るということ。おぉ、多様性保全!宇宙人は外来種だが怪獣は地球の多様性の一部なのだ。

 今回のラストシーンはウルトラQの三人組。いや、ジーンときます。だって、オリジナル・キャストなんだもん。こういうオマージュは最高だ。

第30話 「勇気を胸に」

 夢の中でカイトが観る、もう一つの、あったかも知れない世界。それはマックスに助けられなかったカイト、という世界。なぜマックスがカイトを選んで助けたのか。そして、マックスに助けられていなければ自分は死んでいたということに改めて気付き、底知れない恐怖と不安を感じるカイト。
 場所は変わって、いきなり怪獣グランゴンの死体が、体の一部を喰われている状態で発見される。グランゴンは第1話で出てきた怪獣で炎系の方。怪獣というのは腐敗が早くて、それ故に化石が発見されていないのカモ、という辺りがSF。強烈な匂いに辟易している隊員達をちゃんと描いてるのはさすが。映像からして腐敗臭漂ってるからなあ。さすが、相変わらず手抜きがありません。同じく第1話で出てきたラゴラスと対で出現しており、しかもラゴラスに捕食されたのではないかとの見方がこの段階で提示される。
 自分はマックスの力に頼ってばかりとカイトが悩むのが新しく感じた。こういうのって、大抵、他の隊員がいじけて言うものだからなあ。
 また、それに呼応するように「僕は今日はじめて怪獣を恐いと思った」というショーンのセリフがリアル。どうやらラゴラスは自分が強いことを知っており、人間を見下してるってのが。グランゴンを捕食することで能力を強化させるって、使徒かよ!そんなラゴラスは、今回「ラボラス・エヴォ」という、何だかランサーみたいなネーミングを拝命して再登場。
 新兵器開発に行き詰まって悩むショーンとカイトの会話。カイトの決意、ショーンの決意。それを横で聞いてるミズキの表情がまたいい!何というか、このシーン、いいなあ。何というか、このシーン、いいなあ、って二回言っちゃうほどいい。こういう場面を丁寧に描くのってすごく大事だと思う。その後でミズキがカイトに「あたしにも話してほしかったな」ってスネてみせたりして、もう何スかあーたがた、完全にイイ仲ッスかー!ちなみに、もう任務中でも「カイト」「ミズキ」になってきちょる!周りも完全公認ッスかー!!
 ショーンのためにラゴラス・エヴォを足止めして時間を稼ぐDASHメンバー。その姿はマックスに頼らなくても自分でできるとこまでやるんだというカイトの姿ともシンクロする。ちなみに、今回はダッシュバードの操演の仕方が独創的だったかも。
 そんなDASHからの攻撃を平然と手で受け止めるラゴラス・エヴォ、敵ながらかっこいいぞ!
 マックスとカイトの対話。マックスは地球を観察していたとカミングアウト。本来は干渉しないというのが原則らしいんだが、カイトの気持ちに動かされてしまったというマックス。改めて両者の絆が確認されたところで、いっくぜいくぜいくぜ!(←キャラが違う)
 酸いも甘いも、ではなく、熱いも冷たいも使い分けるラゴラス・エヴォの火球を手で落とすマックスがまた力強い!今回のマックスは最初っからクライマックスだぜ!(だからキャラ違うって) 着地の際に飛び散る土砂の量もおざなりじゃない。苦戦している時に「マックスまで喰われちまう!」というコバのセリフがリアル。そう、怪獣だから喰っちゃうんだよね。しかもこいつ、既に他の怪獣喰ってるわけだから、余計にリアル。

 マックスの攻撃が決定打を欠く中で、遂にショーンの新兵器が完成!ミズキが「やったわね、ショーン!」」というのがステキ。ちゃんと主人公以外の隊員でもお互いの健闘や達成を喜び合えるというのが、絆を丁寧に描くってことでしょう。そして何と、今回はショーンの新兵器だけで怪獣をやっつけた!素晴らしい!

 「勇気を胸に」なんて、ありがちなタイトルだけど、今回の作劇だとこのタイトルの重みが味わい深くなる。

 マックスとたまたま同一化したカイトだけど、もしかしたら他の人間と同様、死んでいたかも知れなかった。そのことを自覚したカイトにとって、人間の肉体の脆さは、マックスのパワーを体感した今となっては一層不安な要素であるはず。そんなカイトだからこそ、無力感に悩む他の隊員の気持ちも分かるし、それゆえに「勇気を胸に」各人の資質を武器に、一歩前へ進んでいくことの尊さが分かる。そして、カイト=マックスに薄々気づいてるミズキ(多分)だからこそ、カイトとショーンの会話でカイトが持つ強さと優しさを感じ取ることができるのではないか。だからこそ「あたしにも話してほしかったな」と可愛くスネてみたくなったのではないか。

 ついでに言えば、寒い系の怪獣だったラゴラスは熱い系のグランゴンを取り込むことで熱いも冷たいもいけるようになり、強くなった。カイトは人間としての己の脆さを自覚することにより、物理的な強さと精神的な強さの両方の価値を見出した。こんな構造を読み取るのは、ちょっと行き過ぎか?
 これまでのウルトラシリーズでも、仲間との絆を描いた作品はあったのだが、弱さに気付く主軸が主人公であるカイトだったことにより、奥行きがグンと深いものになったように感じた。

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