実相寺監督作品。オープニングからして、ちょっと違う。今回は明確にセブンの「狙われた街」の後日談という位置づけ。場所も同じ北川町で、もちろんメトロン星人。
ケータイ文化の風刺がありつつ、単なる風刺に終わっていなくて、それがメトロンの戦術に組み込まれている。ただし、その目的は地球の征服ではないという辺りが「ねらわれない」の意味。
メトロンは何と寺田農!仮面ライダーWの園咲琉兵衛でドーパントの総元締めをやる前にメトロン星人をやってたとは!実相寺さん作品の常連だからこそ成し得たキャスティングなんだろうか。
いちいち画面を傾けたり歪ませたりするアングル、実相寺さんだなあ。でも、そのお陰で、なにげない風景まで変わって見えるのが面白い。「わたしがこの星の住人ではないからさ」なんて、寺田さんの言い回しの妙も相まって、カッコいいセリフだなあ。
「メトロン?」「けんちゃん!」一体何なんだ、この辺りのくだりは(笑)。できれば、メトロンと下町の人々との交流シーンがもうちょっとあったら面白かった。
「悪いやつじゃないんだ」とは刑事のケンちゃんのセリフだが、仮にも地球を征服しようとやってきた宇宙人が「悪いやつ」じゃないというのはどうよ?そんなケンちゃんは、街の荒廃にメトロンが怒っていると言うけど、つまり怒りを募らせているのはメトロンじゃなくて実相寺さん?
前回と変わらず、下町でちゃぶ台をはさんでの対峙シーン。お茶を吹き出すカイトの演出、面白い。「おいちいー!」などと、ちょっとハジけた寺田農の演技も、どことなく江戸ッ子っぽい感じも入り交じって面白い。入り口にいたシーボーズやゴドラ星人は本物って設定?「悪さをしないで、さっさと去れ!」と力むカイトが、通り一辺倒のセリフしか言わない役人っぽくて、これ、実は狙ってる?常に犬や猫の鳴き声など外界の音が存在しているというのがまた味わい深い。セブンの時もそうだった。
夕陽を浴びてたたずむ巨大化メトロン。ジョーンズじゃないけど、この惑星の夕焼けは美しい、ってところか。去りがたき思いもあったのかも。「陰影礼賛」などと口走るが、メトロンは谷崎潤一郎がお好きだったんですか。子供には分からんだろ!
最後のミズキの「でも」のくだりは一体、何なんでしょう。幾ら何でもちょっとやり過ぎでは?これはウルトラQでやった実験的な作品以上に前衛的だよ。「胡蝶の夢」もそうだけど。「子供向け」の領域を超えすぎてやしませんか?とは言え、マックスの中でも必見エピソードであることに変わりはない。
ところで途中で出てくる科学調査を行う機関、PSRIって、確信犯?(怪奇大作戦の「SRI」)。研究員も微妙に岸田森っぽいかも。