本書ではハンターになるまでのプロセスや、やってみないと分からない苦労話もサラッと盛り込みつつ、メインは狩猟という行為について、著者がハンターとして活動していく中で感じたこと、考えたことが綴られている。愛しい生き物としてのシカと美味しい食べ物としてのシカの境界線はどこにあるのか。この矛盾と言うか葛藤を受け入れている姿勢が好印象。
狩猟はお手軽なものではない。昨年秋にシカ撃ちに連れていってもらった時に実感した。山の中を奥まで分け入るのだが、その時に立てる音は、山中に響くほど大きなもの。そうでなくても敏感な野生動物達が気づかないはずがない。シカなどの生態や行動パターンなどを頭に入れた上で動く必要があるのだが、そうやって少しずつ狩猟対象のことが分かってくることが自然との一体化につながると著者は表現している。同僚のハンターも、そういう心持ちには共感できるものなのか、今度、聞いてみよう。なお、本書の最終部分で、ハンター擁護が、若干、美化されて持ち上げ過ぎな印象。
ちなみに、北海道のエゾシカは現在で約60万頭の推計。農業被害は年間で60億円(P180)。なお、農水省では平成28年度までに30万頭までの減少を目指している(第4期エゾシカ保護管理計画)のだが、こうやって被害額が出てきているということは、届け出があるということだろう。そうであれば、そのための保険制度があるのかも知れないと思って調べてみたら、それらしいものがすぐに見つかった。他にも、あまり表立ってはいないけど、色々な保険があるんじゃないだろうか。
http://www.maff.go.jp/j/keiei/hoken/saigai_hosyo/
第1章 狩猟との出会い
第2章 動物観察と狩猟
第3章 自然暮らしの狩猟~どうしてハンターになったのか
第4章 動物を慈しむ心で野生肉を得る
第5章 皮や骨も大切に使う
第6章 野生動物と人間の暮らし
第7章 ハンターとなるために必要な手続き
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