縫製人間ヌイグルマー 大槻 ケンヂ (著)
・異性からやってきた綿状生命体。ぬいぐるみの中に入り込み、一方は愛のあふれる家庭の子供の元で、もう一方は愛のない家庭の子の元で過ごす。やがて、それぞれが悲壮な決意を胸に秘めることになるXデイがやってくる。「姫を守り抜いてくれ」「僕の代わりに人間を沢山殺して」。その数年後から世界征服を企む悪の組織やアメリカ合衆国、そして高円寺のご町内を巻き込んだ壮絶な物語がスタートする。
・傑作の予感があったんだが期待外れ。ちょっと期待値が高すぎたか。結構、泣かせる場面もあるし、不覚にも涙があふれてしまった場面もあるが、お話としての荒唐無稽さと、その割にイマイチまとまりが欠けるというかチグハグな感じとがうまく合っていなかったような印象だった。これは、オーケンの日本語の使い方が小説家としての基準をクリアしていないという点にも起因するような気がするし、人物描写で違和感を持ってしまうような箇所が散見されるのも原因の一つだろう。ちょっともったいない。
・もちろん、面白くないというわけではなく、読み始めると一気に引き込まれて読んでしまったのは事実。だが、少しあざとさを感じるギャグの構成や表現の仕方に目をつぶったとしても、全体的にはイマイチ感が強いというのが正直な読後感。続編に言及しながら、もう発表から7年も建ってるので、多分、この世界観に自分で飽きてしまってるんだろうなとも思う。
・しょこたん主演による本作の映画化、どうやら設定やら筋書きやら、色々と変えられてるみたいだが、興味はある。来年春公開か...。
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