2013年10月1日火曜日

人類哲学序説 (岩波新書)梅原 猛 (著)

【要約】
・「理性=人間」中心主義だったこれまでの西欧の思想潮流を批判的に概観し、日本の縄文文化やアイヌ文化の中にも見られる「草木国土悉皆成仏」に、これからの世界を担う哲学を見出す。

【ノート】
・梅原猛という人の本を初めて読んだ。それまでは、何となく胡散臭さを感じていたのだが、本書を読んでも、やはり、そこここに胡散臭さや自己顕示欲を感じる。

・が、デカルトからニーチェ、ハイデガーを概観しているのは、哲学に馴染みのない人には分かりやすい。飲み屋で、ちょっと哲学に詳しいオッサンが気持よく語っているまとめを聞いてる感じだ。そこから導き出されてる日本的なものの礼賛には、我田引水だなあと感じるものの、魅力を感じないでもない(歯切れの悪い言い回しだが、全面肯定できる類のものではないので、こういう言い方になってしまう)。ある友人からの話で、そのオリジナリティに疑問符がついたのだが、貝塚は縄文人のゴミ捨て場ではなく、再生の祈りの場である、とか、そのような思想はアイヌ文化の中にも色濃く見えるとして熊送りの儀式であるイオマンテの話を出してきたりで、玉石混交な印象。

・哲学の「序説」というには物足りない展開だが、今後どんなものが出てくるのか、ちょっと期待している。

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