主旨は、(先進国の)経済成長は人口で決まるものではなく、イノベーションによるということ(P89)。人口が少なくても「大人の紙オムツ」のようにイノベーションを起こして市場を創出すれば経済成長はできるということ。
感想としてはイマイチでした。イノベーションの例が「大人の紙オムツ」って辺りに、著者の年齢的制約を感じるというのは別にしても、統計資料をもとに説明した後に出てくる結論に、論理的な接合を感じられなかった。人口学の歴史の概説にも統計の説明にも文句はないし、主張したいことにもそれほど異論はないけど、両者はつながってないですよね?という感じ。
なお、もう一つ、違和感を感じた例を。著者がイノベーションの例としてイノベーションの例としてスターバックスを挙げてる(P77)のだけど、これでつぶれた町の喫茶店多数なんだろうから「市場の創出」ではなく単なるゼロサムでの取り合いじゃないんでしょうか?(創出した側面もあるけど)
また、本書では、ピケティの「格差拡大を是正するために再配分が大事」という主張は、今や肯定する人が少ないと記述している(P88)が、そうなのか?決めつけが過ぎるような気がする。それに「生産性より分配の問題なのだ!」という意見(お師様)の方が自分には説得力がある。
これで昨年の経済書No.1っておかしくない?と思ったが、著者は結構エラい先生らしい。「ダカラカー」。だったらつまらんぞ、週刊ダイヤモンド!(正確に言うと、選考は編集部じゃなくて大学の先生やアナリストによる投票結果らしいけど)
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