要約をザックリいくと
・戦後、ドイツと日本では占領の状態が違った。ドイツでは連合国が絡み合ったのでアメリカは好き勝手にできなかった。そこで日本の占領についてはアメリカが自国だけで占領できるようにした。その結果、政治家はアメリカの言うことをよく聞く者から構成されることとなり、そのためであれば戦犯であっても構わないということになった。これはナチ関係者が徹底的に断罪されたドイツと比べても、その違いが際立つ。
・アメリカが日本の軍事化へと路線を転換したのは、もちろん冷戦によるもの。アメリカは、日本における軍事行動に際しては当然日本からしかるべき主張が出てくることを予想していたが、それをしなかった。その結果、例えば核の持ち込みなども「慣習」化されることとなり、この「慣習」化によって日本の対米従属は構造的かつ永続的なものへと変質していった。
・「核」「抑止力」は冷戦が終結し、テロが脅威となった今日の世界では説得力を欠くようになってきている。それなのに、「核の傘」頼りの日本でいいの?
という感じ。
右翼でも左翼でもなく、それぞれに語りかける。こういう人の言論には説得力がある。しかも、一部の左翼がヒステリックにやってきたように、一方的に吉田茂ら保守政治家らの非を鳴らす、というようなスタンスではないのも、個人的には好印象。
しかし、いっつも本の売り方とかにケチをつけてるみたいでアレですが、この帯はどうなんでしょうかね。もう売るためなら何でもやるってことか。もちろん、田中宇さんが展開しているトランプ確信犯説に立った上で本書のあとがきでサラリと触れられている内容を紐付けて、この帯を付けてるんなら秀逸ですが。
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