2013年11月16日土曜日

(株)貧困大国アメリカ (岩波新書) 堤 未果 (著)

・食品、GM種子、製薬会社、農家の隷属とそのグローバリゼーション。「ロボコップ」で描かれていた世界を地でゆくデトロイト、公共サービスの消失、刑務所の労働力化、企業に都合の良い法案を作成するALECというクラブ。

・アメリカはとんでもないことになってる。だが、本書は、「アメリカではこんな恐いことになってて、このままだと日本もこうなる」ということを単に煽っているわけではない。エピローグでは、市民が、巨大企業に対して、どのように、敵対することなく対抗しているかというエピソードが紹介されている。それを読んでいると、「本気で渡り合う」気持ちを持てるかどうかの問題なのだと感じた。相手は(あえて、敵とは言わない)プロで、資本主義の原則に立って、利益を最大化するべく本気で取り組んでいる。手段を選ばないが、合法の範囲(法律すら操作して作っちゃうわけだが)。ならば、こちらが、本気で対抗手段を考えて実行できるか。例えば預金額を全て地方の信金に、とか。

・この辺りの話は著者自身が「ラジオ版学問ノススメ」というPodcastでも言及していた。相手は、単なる悪者というわけではない。「情熱と信念を持って」利益を最大化するためにやっているというだけの話で、それに対抗するには、我々も、相手の考え方のパターンや弱点についての研究をして、相手と同等以上のエネルギーを注がなくてはならないということで、果たしてそれは現実問題として可能なのだろうか?その鍵となるのが情報共有・伝達手段としてのネットだったり、体系的なな研究や、アクションプランを企画・立案・実行するNPOのような組織だったりするのかも知れない。


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