エスパーと、その力を中和するアンチエスパー。共に会社があるのだが、本書ではアンチエスパーの会社側が描かれている。社長のランシターと試験技師のジョー・チップ、そしてアンチエスパー達。彼らはビジネスとして月に出向くが、それはエスパー側の罠で、一同は仕掛けられた爆弾で吹っ飛んでしまい、社長であるランシターは、コールドスリープによる応急処置も間に合わず、死んでしまう。その後、アンチエスパー達が次々と不可思議な死を遂げる事態が発生する。
最近、ヴァリス系を読んでたこともあり、何てまとまなSFだろうとホッとした(「高い城の男」も自分的にはまだピンと来なかったので)。ついでに言えば本作は市立大のお師さんがディックの中で一番好きとおっしゃっていることもあって、少し気合を入れて読んでみたのだけど、自分的にはディックのベスト、とまではいかなかったというのが正直なところ。とは言え、ランシター、ジョー・チップをはじめ、アンチエスパーの面々がそこそこ個性的。加えて、クローズアップされる何人かは、いわゆる「キャラが立って」いて面白い。また、自分達は本当に生きているのかどうか、存在基盤が揺らぎ始める中盤以降のゾクッとする感触はディックならではだし、SFならでは。なお、本書も高校時代に読んでるのだけど、全く覚えていなかった。
0 件のコメント:
コメントを投稿