2013年2月2日土曜日

松丸本舗主義 奇蹟の本屋、3年間の挑戦。 松岡正剛 (著)


・昨年後半から松岡正剛という人に興味を持ち始めた。知ってる人からすれば今更感が強いだろうが、大変な読書家で、知の巨人的な扱いをされることも多い。本人は自分のことを編集者だと言っている。自分が学生の頃、ニューサイエンスの本を多く出版していた工作舎を立ち上げた人でもある(ラブロックの「ガイア理論」の翻訳本も工作舎)。

・そんな松岡さんが企画・運営した本屋、松丸本舗。昨年(2012年)9月に閉店したらしいが、3年の間、丸善と組んで、丸の内店のショップ・イン・ショップという形で運営してたらしい。これからの(あるいは本来の)本屋とはどうあるべきかを考えた上で構築されたその空間が、どのような立ち振る舞いであったのか、残念ながら体験はできなかったが、この本で少し垣間見ることができた。しかも舞台裏の解説付きで。

・平たく言えば、タイトルにもある「奇跡の本屋」の3年間のヒト、コト、モノについてまとめた本。結構なボリュームなんだが、意外とスルスル読めてしまうのは、全体の2/3が資料的というのもあるのだろうが、松岡さんの「編集」の妙なのかな。

・ただ、閉店に至った事情がいまひとつ分からなかった。閉店は松岡さん達の意志に反してのことらしいので丸善側の理由が知りたい。単純に赤字だったからなんだろうが、それは松丸本舗の箱、つまり店舗什器等にかけた初期投資なのか、各種企画にかかった原価なのか、それとも松岡サイドへの支払いを含む人件費の部分だったのか。

・松岡さんは「捲土重来を期すつもりだ」とtwitterでつぶやいた。「奇跡の本屋」は、果たして「あれは奇跡のようなものだった」で終わるのか、それとも、その奇跡の種子がタンポポのように各地に散らばっていき、芽吹くのか。

・余談だが刊行前に予定されていたサブタイトルは「65坪、10万種・各1冊、1074日間 人と本をつないだ奇跡の本屋の挑戦」だった。

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