2014年6月15日日曜日

「知的野蛮人」になるための本棚 (PHP文庫) 佐藤 優 (著)

・「千夜千冊」的な、本読みのためのリファレンス本を目指したとのことで、使いではありそう。「啓蒙の弁証法」という難解なフランクフルト学派の哲学書が入っている辺り、なかなか侮れないセレクションになっている。ちなみに、この著者が各書でよく言及するハーバーマスもこの学派の流れ。

・本書の読みどころは、色々なテーマについての本の紹介よりも、対談形式になっている「文庫版特別講義」かも知れない。相手を務めている小峯隆生氏はかつて週刊プレイボーイの編集者をやってた人で、J.キャメロンの知己を得てシュワルツネッガーの「ターミネーター2」や「トゥルーライズ」にもチョイ役で出演した編集者。まだ健在だったんだな。対談の中で、いきなり他社の「読書の技法」についての話題を出している辺りが尋常じゃない。さすがと言ったところか。そして、著者自身から「『読書の技法』は出世したい人のため、『人に強くなる極意』は会社で楽しくやっていきたい人のためで、本書は前者と同じグループ」との言葉を引き出してるのが面白い。番宣ならぬ「本」宣?

・ちなみに「読書の技法」では、基本書は3冊読む(意見が分かれた時多数決を取るために)とのことだったが、本書では1テーマにつき2冊という構成だったのが残念。