2016年11月6日日曜日

エデン (ハヤカワ文庫SF文庫) スタニスワフ レム

 高校の頃、立て続けにレムを読んでいた時期があり、本書もハードカバー版(しか当時はなかった)で読んだはずなのだが、全く内容を覚えていなかった。スタニスワフ・レムは何度か映画化された「ソラリスの陽のもとに」の原作者で、ポーランドのSF作家。人間の価値観や思考体系を超越した異星の生命体との邂逅をテーマにした「ファーストコンタクト三部作」で世界的に有名になった。本作はその第1作目で、この後に「ソラリス」「砂の惑星」が続く。

 惑星エデンへの不時着を余儀なくされた宇宙飛行士たち。面子はコーディネーター、サイバネティシスト、ドクター、物理学者、化学者、技術者の6名。幸いにもエデンの大気構造は地球と似たものだったので、宇宙船の修理と並行して、限られたリソースを有効活用してエデンの探索を開始する面々。精巧な人工構造物が発見され、明らかに高度にオートメーション化された「何か」の生産プロセスが稼働しているのだが、工場の中には、なかなかにグロい有機生命体の死骸が累々と積み上げられていた。他にも、荒涼とした大地に生息する悪臭を放つ樹木(のようなもの)、空を飛ぶ哨戒機のような物体などが6人の前に出現する。正直言って、それぞれがどんな事象なのか、把握するのに骨が折れた。頭が固くなってるからかな。

 それにしても6名の宇宙飛行士は、まさに人類の知性を代表したかと思えるほど知性的で忍耐強い。