2013年7月28日日曜日

国家とインターネット (講談社選書メチエ) 和田 伸一郎 (著)

・久々のハズレ。タイトルにかなり期待させられたのだが、とても「権力、メディア、人間の関係を根底から考察」した内容を把握できなかったし、「IT化社会における政治哲学の可能性を切り開」いた本とは思えなかった。自分の読解力の及ばぬところか。

・これで選書?新書レベルにも達してないのではないかというのが正直なところだが。参考資料からのたくさんの抜き書きと、それに関連した、裏付けの少ない個人的見解が少し。学生のレポートクラスではないかと思った。

・一番ひどいと思った例。中近東について、難民が大量発生し、カダフィのような独裁政権が生じている例を挙げて、「地域の国家機能の弱さ、また、国境の人工性の虚構性、移動することの一般性から(土地や国家への)帰属性が薄い(P158)」と結論し、だから、SMSが、中近東において人々を動かす力を発揮しやすいとしている辺り、著者は本当に学者なのだろうかと思ってしまった。それで「以上、中東地域の土地の内的事情を見てきた」との総括とは恐れ入ります。

0 件のコメント:

コメントを投稿