2013年11月16日土曜日

ビジネスでいちばん大事な「心理学の教養」 - 脱「サラリーマン的思考」のキーワード (中公新書ラクレ) 酒井 穣 (著)

・マズローやミハイの「フロー」、「影響力の武器」なども参考図書に挙げられており、確かに「心理学の教養」というタイトルに偽りはない。キーワードを挙げて、その概要や現実社会への応用方法をコンパクトにまとめている構成も読みやすい。ただし、現実社会への応用方法が、紙数の制限もあるのだろうが、あまりにも表面的なのがちょっと惜しい。あくまでも「教養」ということなので、この分野の著名な作品に馴染んでいる人なら、重複が多い印象を受けるだろう。

・流し読みしていたが、いくつか知らない情報や新しい発見があった。「ツァイガルニク効果」、次に組織内で好ましくない行動を取っている者への視点、そして状況の抽象化スキルについて。

・「ツァイガルニク効果」はプレゼンの時などに自分が最近感じ始めていたことと同期した。組み立てられすぎたプレゼンでは、拍手はもらえても、聴衆との一体感はあまり形成されない。適度な隙があった方がいい。そのことに対する自分の考えを補強してくれる考え方だった。

・組織内で好ましくない行動を取っている者は、その組織における欠点などを明確にしているのかも知れないというのは新鮮な視点だった。

・「抽象化スキル」で語られていることは「人間の叡智」で佐藤優さんが語っていたエリートの条件と共通する。「自分のいる場所を客観的に認識してそれをきちんと言語で説明できるのがエリートの条件です。 『人間の叡智』(P157)」

・最後に書かれている著者の危機意識がダニエル・ピンクの「ハイ・コンセプト」と通底するものだったり、これからの世界の動きについての構想が佐々木俊尚の「レイヤー化する世界」と似通っているのが意外でもあり興味深かった。

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