2014年2月2日日曜日

ブタとおっちゃん 山地としてる (著)

・香川県のある養豚家を撮影したモノクロの写真集。一度は見てみてほしい。家畜として飼育されてるブタとおっちゃんの、家族のような生活を。

・養豚場だから最後は食べちゃうんだよね。そのために育ててる。でも、何なんだろう、この、写真から伝わってくるブタとおっちゃんの関係っていうのは。実は、読んでいる間、ずっと身構えてた。結局、食肉なんだから、どこかで屠殺などの写真が出てくるんじゃないかと。でも、最初から最後まで、徹頭徹尾、幸せそうなブタとおっちゃんの写真ばかりだった。

・これは「銀の匙」よりも心に残る。最近はグローバリズム侵食による農業の恐るべき効率化が進んでて、家畜も生物としてではなく工業製品のような管理をされるようになっている(この辺りは堤未果の「(株)貧困大国アメリカ」に詳しい)。これがなければ牛丼1杯280円なんて無理。だからと言って、それでいいのか?という気持ちも最近は強い。倍の値段でもいいから、効率至上主義じゃない酪農家さんが育てた牛の牛丼を食べようというのもアリなんじゃないだろうか。でも、そんな気持ちになった時、そんな牛肉を提供できる酪農家さんは絶滅しているかも知れない。もしかしたら、この写真集に描かれているような生産者は世界中のどこからも駆逐されているのかも知れない。10年後、この写真集は、家畜の飼育として、あり得ない奇跡の記録になっているかも知れない。

・なお、この「おっちゃん」は体調を崩して、もう養豚場をたたんだらしい。

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